【民進党代表選】政権をとる準備は整っているのか――前原氏、枝野氏が激論

最終更新日:2017年8月24日

画像:塩田亮吾

【民進党代表選】政権をとる準備は整っているのか――前原氏、枝野氏が激論

 民進党代表選は、前原誠司元外相(55)と枝野幸男元官房長官(53)の一騎打ちとなった。基本政策や消費増税、他党との連携についてどう考えるのか。「Yahoo!みんなの政治」の配信番組で激論を交わした。司会は評論家の荻上チキ氏。(Yahoo!みんなの政治)

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※配信は21日夜。番組での発言要旨を以下にまとめた。

――代表になったら、どんな社会を目指すのか

前原 若い人からお年寄りまで、どの世代も不安を感じることのないサービスを提供し、応分の負担をしてもらう。中福祉・中負担をしてもらう。これが私の作りたい社会「オール・フォー・オール」、みんながみんなのために、だ。自民党政権は経済が落ち込んだら、借金をして公共事業をやって内需拡大をする。安倍首相も懲りずに、財政出動、金融緩和というカンフル剤を打ち続けている。これでは構造問題は変わらない。

 われわれは各世代に対して、不安解消のための政策を提供する。それには財源が必要だから、負担もしてもらう。こういうモデルに転換するとはっきり宣言した上で、具体的に就学前教育・保育が無償になる、基礎年金が下がらないようになる、と中身を説明していく。

枝野 多様性を認め合い、困ったときに寄り添い、お互いを支え合う社会。これを私は掲げる。今の自民党中心の政治は、自己責任と自由競争を煽っている。これは政治の責任放棄だ。自己責任で通用しない時に政治はある、自由競争だけでは経済が回っていかないからこそ政治がある。

 国民が困ったときでもしっかり暮らせるような、支え合う仕組みを確保する。かつての日本には、そうした仕組みが家庭や地域で自然発生的に存在していた。それが近代化やグローバル化の中で機能しなくなった。困ったときは社会全体で支えてもらえる。そのかわり自分に少し余裕がある時は、支える側に回る。こういう社会を作っていきたい。

――最優先に取り組みたい政策は

前原 旧民主党政権時代に政調会長として社会保障と税の一体改革をまとめた。これをバージョンアップさせた、生活保障と税の一体改革をパッケージで示す。消費税率を2段階で上げ、教育や子育て、医療年金などの恒久財源を担保していく。これによってすべての世代の不安解消の道筋を示す。いの一番でやる。

枝野 細かすぎると言われるかもしれないが、介護職員、看護師、保育職員、保育士さんの賃金を上げる。そのために公的資金を突っ込む、一気には進まないが、じわじわと上げていく。賃金が上がることで人手不足も解消され、雇用数も増えていく。これは大きな効果を上げる景気対策でもあるから、1日も早く着手しなければならない。

―― アベノミクスに代わる成長戦略は?

前原 若い人たちに対する給付を増やそうという考え方だ。例えば、結婚がなかなかできない、子どもを持てない(という状況がある)。教育の無償化や若いカップルへの住宅手当などをしっかりやらなければならない。

 その上で、所得にかかわらずすべての子どもに機会の平等を与えることが必要だ。アベノミクスで経済成長していないのはトリクルダウンだからだ。GDPの6割を占める消費が冷え込んでいる。企業に内部留保が溜まり、可処分所得が下がり続けている。個人を冷えさせるのがアベノミクスだ。

 応分の負担をお願いする前提の上で、我々は給付を増やしていく。現物給付を中心に配分していくことで、消費に回っていく。私の掲げる「オール・フォー・オール」は、ボトムアップ型の好循環を生み出そうとするものだ。日本は現役世代に対する現物給付が圧倒的に少ない。若い方々への施策を充実させない限りは持続可能な社会にならないし、貧困問題は解決しない。

枝野 日本の経済が成長していない原因は内需だ。外需についてはこの20年それほど悪くない。経済全体の成長には消費の拡大。そのためには格差の是正に資金配分するというのが何よりも王道だ。

 従来とは時代が変わった。そのメッセージを政治が発信することが大事だ。それは画一的な大量生産は途上国型の経済だということだ。先進国においては大量生産では人件費の安い国との競争は厳しい。先進国でなければできない分野は少量多品種。かつての鉄や自動車のような一つの産業が全体をリードするようなことは、これからはない。さまざまな少量多品種の分野で伸びていくしかない。

 だから経済も多様性がいる。社会全体を一色に染めるような安倍政権の流れでは経済は成長しない。多様な生き方を認めて、いろいろな人たちが多様なアイデアを出していく。その中で全体として日本の経済が堅調に進んでいく。これが先進国型の経済のあり方であり、その方向にリードすることが政治の役割だ。

――野党共闘への考え方は、共産党との関係をどうする

枝野 「野党共闘」をテーマにしたことは、私はない。昨年の参院選も「野党連携」だ。候補者を結果的に一本化するということに成功したということ。できることは最大限やる。できないことはやらない。具体的にメリハリをつければ良い。共産党と連立を組むということはまったく想定に入っていない。立憲主義を守るということ、政治の私物化、情報隠蔽といった政治を一刻も早く止めなければならない。その点では共通点がある。

前原 政治家・政党にとっての命は理念であり政策だ。特にこれから我々が迎える選挙は総選挙、政権選択の選挙だ。基本理念、政策が一致をしていることが大前提であり、根本的に政策が違う政党とは連立は組めない。我々は理念・政策を掲げる。共産党に限らず、譲れるところと譲れないところを他党が判断されることだ。

――なぜ民進党の支持率が上がらないのか

枝野 私も含めて国会議員が目先の「風」「勢い」に右往左往してしまった。そのことによって足元をしっかり見つめることができなかった。失敗もした。どうすれば次の選挙で自分が生き残れるのか、そういう視点で行動しているように誤解をされた。これを払拭することだ。

前原 目指すべき社会像やそれを実現する政策をちゃんと示せていなかったのではないか。批判ばかりの政党だとか、選挙のために他党と協力するとか、ネガティブに見られてきたことが大きなポイントだったと思う。大事なことは理念・政策・社会像を明確にすることだ。

――民主党政権の「失敗」をどう総括するのか

前原 「やる」と言ったことが出来なかった。「やらない」と言ったことをやった。これは消費増税。そのことに対して「嘘をつかれた」と思われたのではないか。もう一つは常に党内がガタガタしていて、最後は党が割れた。ガバナンスに対する不信感とそれを越えるだけの懐の深さがなかった。それは大きな反省点だ。

枝野 根本にあるのは、私たちが政権をとる準備を整えて政権をとったのか。その準備や覚悟が十分ではなかった。政権をとることが自己目的化していたという部分が大きかったのではないか。その結果として期待を裏切ることにつながった。リアルな政権の準備を整えていくこと。政権をとって何をするのか、ということをしっかり共有することが大事だ。

――政権をとる準備は整っているのか、ガバナンスは成熟しているのか

前原 この4年半で準備はしてきた。ガバナンスについてはリーダーの覚悟が必要だ。一枚岩でまとめられる度量があるか、覚悟があるか、それが問われている。まとめきれるという思いでないと代表選に出ない。ラストチャンスだと思っている。やりきりたいと思う。

枝野 準備は相当に進んだが、準備が整ったと言い切るべきではない。次の選挙に向けて、これから問われる部分がまだまだ残っている。「上から」のリーダーでは、この現代社会はまとめきれない。トップが頑張れば、まとめて進んでいけるというほど、この党は生ぬるいものではない。草の根からのリーダーシップを発揮することによって、ガバナンスを整えていきたい。

――「日本ファースト」や小池都政をどのように評価するのか

枝野 都知事については一定の評価はしているが、本当のところはこれから。国政ということであれは、現状、旗を振っている方は、ついこのあいだまで自民党。我々が許せないという立憲主義の破壊、情報隠蔽、政治の私物化、アベノミクスに、大賛成をしていた。自民党の補完勢力と組むことはありえない。

前原 小池都知事はバッジを外して勝つかわからない選挙に出た。その心意気をみなさん買ったのだと思う。五輪の予算や築地移転などのディスクロージャーについては、一定の評価をしたい。国政については、与党なのか野党なのか。どういう政策理念なのかわからないので評価をしかねる。都知事はいい意味でしたたかな方だ。日の当たるところを歩いてこられた。政治家にとっての必要なしたたかさを持っていると思う。

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番組は8月21日夜に配信された。司会は評論家の荻上チキ氏。パネリストは、神保哲生(ジャーナリスト、ビデオニュース・ドットコム代表)、浜田敬子(元AERA編集長、BUSINESS INSIDER JAPAN統括編集長)、吉田徹(北海道大学法学研究科教授)の各氏。

[写真] 撮影:塩田亮吾/ 写真監修:リマインダーズ・プロジェクト 後藤勝

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