放送局に求める「公平性」とは

最終更新日:2016年4月2日

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放送局に求める「公平性」とは

放送における「政治的公平性」をめぐり、議論が続いています。新聞やテレビだけでなく、インターネットメディアが台頭するなどメディア環境が大きく変化しているなか、放送局における「公平性」についての識者の意見をまとめました。

放送法4条とは

議論の発端となったのは2月の衆院予算委で高市総務相が放送局の「電波停止」について答弁したことでした。

政治的公平などを規定する放送法4条の違反で電波停止をしないか確認した民主党の奥野総一郎氏の質問に「行政指導しても全く改善されず繰り返される場合、何の対応もしないと約束をするわけにはいかない」と答えた。

「電波停止」 波紋広げる理由とは(毎日新聞)

議論となっている放送法の4条とは下記のような内容です。

番組編集の基準として、政治的公平、事実の報道、多角的論点の提示など4項目の「番組編集準則」を定める。

放送法(毎日新聞)

独立したチェック機関の必要性

一連の議論をめぐっては、識者からは様々な意見が出ています。ジャーナリストの木村正人さんは、そもそも現在の政府と放送局の関係に問題があると指摘します。

一番大切なのは放送に携わるNHKや民放の姿勢であることは言うまでもありませんが、放送免許付与の権限を持つ総務相が権力の監視機関であるNHKや民放の「政治的公平」を監督する仕組みはどうみても利益相反です。

「政治的公平」違反繰り返せば「電波停止」も NHK・民放VS高市バトルの行方(Yahoo!ニュース-個人)

そのうえで、木村さんは政府と放送局から独立した機関が放送倫理をチェックすることを提言しています。

求めているものは「多様性」

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一方、「左翼も右翼もウソばかり」などの著書がある評論家の古谷経衡さんは、放送局が現在の放送内容を「公平」にすることが本質ではないと指摘します。

地上波のテレビ局が画一的で微温的にリベラルの横並びであり、一局も「保守系・右派系・政権(自民党)寄り」の声を代弁する存在がないことが、過去数十年にわたってテレビ局そのものへの呪詛の感情を蓄積させてしまった。その声を「放送法」とか「憲法」の美名のもと、上から抑えこむのではなく、彼らの声を組む代弁者の存在こそが重要といえるのではないか。

高市発言から考えるテレビメディアの行方 「公平性」から「多様性へ」(Yahoo!ニュース-個人)

「政治的公平を求める」という彼らの声は、実際は「政治的多様性」を求める声なのであり、仮に左偏向が右反転しただけなら結局「偏向」には変わらない。それは問題の根本解決とは程遠い。

高市発言から考えるテレビメディアの行方 「公平性」から「多様性へ」(Yahoo!ニュース-個人)

こう指摘したうえで放送局や各番組が「思い切って独自路線」に舵を切り、左派から右派までの意見の受け皿を作るべきと主張しています。

アメリカで廃止された「公平性」

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アメリカの事例を引き合いに出し、日本のメディアもより「オピニオン」を鮮明にすべきだという意見もあります。音好宏・上智大教授は以下のように説明しています。

米国では、1987年にFCC(連邦通信委員会)が、放送におけるFairness Doctrine(公平原則)を破棄している。(中略)「公平原則の基礎をなす電波の希少性は拡大する通信技術の中において適合しなくなった。むしろ公共の活発な意見交換を妨げている」としたことによる。

アメリカの報道と日本の報道 公平性をどう考える? 音好宏・上智大教授(THE PAGE)

客観報道主義によって公正さを守りつつ、オピニオンを明確にして多様な視点や論点を提示することが重要としています。

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