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日本の政治が変わる!! マニフェスト講座
2007年7月27日号

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特別編Vol.3 開票事務改革がもたらす成果

2006年5月に早稲田大学マニフェスト研究所が「開票事務の時間短縮」に取り組み始めたころは、「時間を数分縮めたところで何の効果があるのですか」とか「かえって職員の反感を買うことになるからマイナスではないですか」といった声が識者や行政の幹部から寄せられました。

ところが、改めて公職選挙法ならびに地方自治法を確認してみると、そのような姿勢がいかに自己中心的であるかがわかりました。公職選挙法第6条1では、「選挙が公平且(か)つ適正に行われるよう」に努めなければならないとしながらも、同条2で「選挙の結果を選挙人に対してすみやかに知らせるように努めなければならない」と定めているのです。

また、地方自治法第2条14、15では「地方公共団体は、事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」、「常にその組織及び運営の合理化に努める」と示されています。

つまり、行政には公平性に加えて経営の視点が必要とされており、「前例踏襲」ではなく、常に行政事務の適正化に努めなければならないのです。

午後10時以降の1時間短縮で、約10億円の人件費削減

「開票事務の時間短縮」がもたらす成果の1つとして、経費削減が挙げられます。通常、公務員は、午後10時を過ぎると超過勤務手当が加算されるため、深夜にわたる開票事務は人件費の大幅な増加につながります。その総額は実に全国の市区町村公務員全体で、約31億円にものぼるのです。

もし、全国で1804ある市区町村が開票事務の迅速(じんそく)化に取り組み、午後10時以降の1時間が短縮された場合、約10億円の人件費削減につながります。さらに、すべての市区町村の選挙において、平均して100万円ずつ経費削減が図られたと仮定します。通常、市区町村長の1期の任期である4年間には6回の選挙(衆参選挙、知事・県議選挙、市町村長・議員選挙)が執行されるため、約108億円の経費削減となります。

実際に迅速化に取り組んだ06年福島県知事選挙における同県相馬市の事例を見てみると、より具体的に成果がわかります。

福島県相馬市における開票事務迅速化の成果
選挙年月日 2004年9月5日 2006年11月12日 04年選挙との比較
選挙名 福島県知事選挙 福島県知事選挙 -
立候補者数 2人 5人 +3人
有権者数 30,876人 31,062人 +186人
投票者数 14,731人 17,107人 +2,376人
投票率 47.71% 55.07% +7.36ポイント
事務従事者数 72人 62人 −10人
所要時間 61分 25分 −36分
執行経費決算額 875,151円 443,561円 −431,590円
1人が1分間で処理した票数 3.35票/分 10.80票/分 事務処理量
3.2倍
1人が1票処理するのに要した時間 17.9秒/票 5.6秒/票 効率性
3.13倍
1票あたりにかかったコスト 59.4円 25.9円 −33.5円
1人が処理した票数 204.6票 275.9票 71.3票増
事務従事者
1人あたりの有権者数
428.8人 501人 72.2人増

上の表を見ると、職員1人が1分間に処理した票数は、前回(04年)と比較して3倍以上になっています。当然、作業効率の向上により、1票あたりにかかるコストも削減できています。このように、開票事務改革を行えば、職員数を増やさずに業務の効率性を高めることができ、経費削減へとつながることが実証されているのです。

開票の迅速化を目指し、職員が議論を行う(福島県相馬市)
開票の迅速化を目指し、職員が議論を行う(福島県相馬市)
今、全国の自治体は行財政改革へのさまざまな取り組みをしていますが、改革の大きな障害となっているのが「前例踏襲」という意識です。「今までこの方法で行ってきたのだからこれでよい」という思い込みが、改革を阻んでいるのです。

選挙の開票事務は、部や課を超えて多くの職員が共通の目標として取り組むものです。正確で迅速な結果を知らせることは、住民サービス向上につながるだけではありません。開票事務を通じて、共通の目標を達成するためにはどのようにすれば良いかを考え、実行するマニフェスト型の事務執行を経験でき、このことが公務員の意識改革にもつながるのです。

7月29日の参議院選挙の開票事務を通じて、全国の市区町村でマニフェスト型の開票事務が行われ、真の自治体へと進化していくことを期待しています。

北川正恭・早稲田大学マニフェスト研究所所長のまとめ-

04年に実施された参議院選挙の各市区の開票時間の平均は4時間48分でした(右欄の表を参照)。早稲田大学マニフェスト研究所では開票時間の60分短縮に取り組み、今回(07年)の参議院選挙は3時間48分を目指しています。

7月29日は参議院選挙の投票日です。投票結果と共にお住まいの自治体の開票時間にも注目をしてください。

特別編Vol.1 マニフェストが生んだ行政革命〜コンマ1秒の節約〜
特別編Vol.2 開票事務改革への取り組みが問われる参院選

→バックナンバー一覧
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2004年7月の参議院選挙(比例代表制)における開票所要時間ランキング

早稲田大学マニフェスト研究所 開票事務調査
順位 都道府県 市区町村 所要時間
(時:分)
1 大阪府 大阪市西区 2:01
2 埼玉県 蓮田市 2:02
3 千葉県 鎌ケ谷市 2:05
4 山形県 村山市 2:15
5 大阪府 大阪市中央区 2:16
6 大阪府 大阪市東成区 2:28
7 大阪府 柏原市 2:30
7 大阪府 大阪市天王寺区 2:30
9 埼玉県 加須市 2:31
10 大阪府 大阪市旭区 2:35
10 福岡県 北九州市戸畑区 2:35
10 高知県 土佐清水市 2:35
794 大分県 大分市 8:10
794 東京都 杉並区 8:10
796 愛知県 豊川市 8:15
796 愛知県 蒲郡市 8:15
798 東京都 練馬区 8:25
799 和歌山県 橋本市 8:45
800 山梨県 甲府市 9:19
801 東京都 葛飾区 9:26
802 東京都 北区 9:27
803 三重県 四日市市 10:15
804 東京都 江戸川区 10:22
平均所要時間 4:48

対象選挙 2004年7月執行参議院議員通常選挙における比例代表投票に関する開票所要時間
対象
自治体
以下の合併基準を考慮した後の全国の市区804
※04年の参議院議員選挙以降に合併があった場合には、合併後の人口の5割以上を占める市がある場合のみを対象。
調査方法 都道府県選挙管理委員会に電話にて資料提供依頼。
その後、全対象市区に対して郵便にて内容確認実施。
調査日時 2007年6月28日〜7月22日
市区平均 4時間48分

用語解説

本文中の太字の語を解説しています。
公職選挙法
  (こうしょくせんきょほう)
マニフェスト
  (まにふぇすと)

筆者紹介

中村 健(なかむら けん)
1971年生まれ。
95年4月、四国旅客鉄道株式会社入社。98年8月、同社退社。99年4月、徳島県川島町長に就任(1期目)。2003年4月、同町長就任(2期目)。04年9月、町村合併により失職。
同年11月、早稲田大学マニフェスト研究所研究員に就任。05年4月、同大学大学院公共経営研究科入学。07年3月、同研究科修了。

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